記念シンポ
「グローバル化と社会政策−排除から包摂へ−」に参加して

  

        
会員:HM    
200846日掲載 


 3月22日(土)午後、シンポジウム「グローバル化と社会政策−排除から包摂へ−」が、東京大学で開催されました。主催は、日本学術会議社会学委員会 包摂的社会政策に関する多角的検討分科会、社会政策関連学会協議会設立準備委員会ですが、実はこのシンポジウムは私たち女性労働問題研究会も参加している社会政策関連学会協議会の設立を記念するものでした。シンポの予定討論者として森ます美代表が登壇するというので、私も参加してみました。
 今回のシンポジウムの「開催趣旨」は、次のように述べられておりました。
「少子高齢化,グローバル化などの社会・経済変動のなかで,新たな社会政策が切実に求められている。先進諸国を中心とするポスト工業化のもと、新興国・途上国・移行国を含む諸社会で、@女性の労働力率の上昇、A人口の高齢化、B技術革新等による労働市場の変容、C規制緩和や社会サービスの民営化などに伴い、「新しい社会的リスク」と呼ばれる問題が浮上している。すなわち、先進諸国では、従来の社会的リスクを福祉国家によって克服したと考えられたが、格差問題やワーキングプアをはじめとする各種の社会的排除が露わになっている。社会的包摂をめざして社会政策を広い意味で捉えて再構築することは,日本を含む先進諸国の共通課題であり、後発国に及ぼす影響も大きい。
 本シンポジウムは、ポスト工業化社会が直面する新しい社会問題を総合的に分析し、社会学、法学、政治学、社会福祉学、経済学などの多角的な連携により、問題解決に向けた包摂的社会政策を構想する第一歩としたい」。

 総合司会は、古川孝順さん(東洋大学、日本社会福祉学会、日本学術会議連携会員)
コーディネーター・討論司会に、大沢真理さん(東京大学、社会政策学会、日本学術会議会員)でした。
 続いて次の方々の講演が行われました。
1) 宮本太郎さん(北海道大学、社会政策学会、日本学術会議連携会員)
  「包摂的社会政策の可能性」
2) 林弘子さん(福岡大学、ジェンダー法学会、日本学術会議連携会員)
  「グローバリゼーションと女性労働」
3) 木下武男さん(昭和女子大学、日本労働社会学会)
  「労働社会の構造転換とワーキングプアの増大」
4) 大友信勝さん(龍谷大学、社会福祉学会)
  「社会福祉からみたセーフティネットの危機と課題」

 休憩の後に、三重野卓さん(山梨大学、福祉社会学会)、森ます美さん(昭和女子大学、女性労働問題研究会)が予定討論者として発言され、その後に一般討論が会場フロアからありました。
 そして最後に、武川正吾さん(東京大学、社会政策学会、日本学術会議連携会員)が閉会の挨拶をされ、終了しました。

以下、参加した私の感想を若干記します。
 私自身の興味関心分野は「労働・福祉・教育の連携」ですから、シンポジウム自体はとても面白かったのですが、この集まりに、「教育」分野の方々が参加すると、さらに深みが広がるのではと思いました。特に、日本の公的給付率が11.4%で、大部分が「年金」であるという話を聞くと「就学援助制度」の利用者はまだまだ少ないようで、大人の貧困(単に経済的貧困だけではなく、社会の様々な貧困)が子どもに与える影響は、計り知れないものがあると思います。
 また外国人労働者の問題、インドネシアからの看護師、介護士の受け入れ問題等々、グローバルに考えていかなければいけない問題は、幅広く感じました。
ところで、「包摂」という言葉が難しい。「排除」の反対語になるようです。参考までに     YAHOO!JAPAN辞書によると
 「社会的包摂 (しゃかいてきほうせつ)  -国際関係 -2007年8月8日 ヨーロッパ諸国で家族や地域社会、企業における従業員の家族意識といった、互いを支え合う基盤が崩壊してしまったことに対して、彼らを孤立させずにもう一度社会の中に包摂しようという政策理念。ヨーロッパ諸国では若い失業者、低所得者、外国人、ホームレス、薬物中毒者などを社会から排除しようという動きが顕著となり、そのために社会不安が増大してきた。それに対して、こうした事態が続けば国家の崩壊にまで行き着くという危機感から包摂理念が生まれたという。人が社会とつながりをもって生きていくためにもっとも必要なのは仕事をもつことである。排除されやすい人ほど仕事が見つからないという悪循環に陥りがちなことから、1991年にイタリアで障害者などのための仕事づくりに取り組む団体を支援する法律ができ、その動きはドイツ、イギリス、ギリシャ、フィンランドなどに広がった。EU(欧州連合)では2010年までに社会からの排除をなくすためのさまざまな行動計画を各国でつくること」としています。
 私の解釈では、「繋がっていく」、「孤立する人を社会的になくしていく」という感じでしょうか。